創業大正14年、坂巻醬油4代目の小野さんにお話しをお聞きしました~

今回の桶川元気人は伝統の茶釜作りを行う長野新さんからのご紹介で、

創業大正14年、坂巻醬油4代目の小野剛志さんにお話しをお聞きしました。

小野さんは神奈川県小田原のお生まれで、25歳までは桶川はもちろん埼玉にも全く縁が無かったそうですが、

25年前に坂巻醤油の娘さんとの出会いが生まれ、ご結婚されたことにより、

この桶川の地でお醤油さんをすることになったそうです❣

まさしく、これは運命の出会いですね✨

 

神奈川県の小野さんのご実家はお寿司屋さんで、(現在はすでにお父様がお店を閉めたそうですが)

小さい時からものづくりをする職人がとても身近にいる環境に育ったため、

奥様のご実家の醤油作りを〝面白そうだな〟挑戦してみよう!ということになったそうです。

こうして、お寿司さんの息子さんとお醤油屋さんの娘さんがご結婚され、

新たに発展していくことになったのでした(^▽^)/

桶川市民祭り、桶川べに花祭りなど毎年出店。直販しています。

坂巻醬油は大正14年創業とされておりますが、実際はそれ以前より醤油屋は続いていたそうです。

坂巻醤油の元々は川田谷の大地主の高橋さんという方が醤油作りをされていて、

初代の坂巻さんが高橋さんより醤油屋を譲り受けたのが始まりでした。

昭和初期の坂巻醤油

ただ、いつから高橋さんが醤油作りをされたのか?初代がいつから醤油屋を譲り受けたか?という資料は残っていないため正確なことはわからないそうです。

タマジョウの醸造元が坂巻醤油となったのが大正14年(1925年)で、この年からタマジョウの商標を受け継いだそうです。

(タマジョウとは、先祖代々からの昔の言葉で、タマジョウ=玉上=上玉=上級 と言い伝えられ、上級品という言葉からきていると伝えられています。)

2代目と今も現役の醤油桶

それから昭和51年、1976年三代目(先代、弘道さん)が坂巻醤油店を継ぎ、

その後、平成16年2004年に小野さんが四代目坂巻醤油店を引継ぎました。

そして城山公園の近くにあった坂巻醤油は17号上尾バイパスが開通したことにより平成22年(2010年)現在の地に移転し新工場が作られたそうです。

 

今回、小野さんにお話しをお聞きして私が最も驚いたのは、現在は小野さんが醤油作りの大半を自分でされているということでした‼

小野さんに醤油作りは楽しいですか?とお聞きすると先は見えないけど、〝こうなってほしいなあ〟と作っている時が最も楽しいですね。

でも作業場は夏は暑くて冬寒く、仕込みの部屋や大豆を発酵させている桶の部屋は空調を使用できないので正直つらい日もありますね。とのこと。

醤油作りは、今日作って明日できるものではありません。

結果が出るのはもろみを発酵熟成させて1年後となるため、長い時間をかけてイメージを持ちつつ自然に任せて、酵母や菌が働く環境作りをしています。

決して毎年、同じものは出来ないのだそうです。

1年間、四季を通してじっくりと変化していく醤油の味。

小野さんがお客さまにいつもお伝えしているのは、料理のレシピの中の一つに醤油があるとしたら、

坂巻醤油の味は自然に任せる醤油作りの為、同じ蔵で同じように仕込んでも同じ醤油は出来ません。

〝いつも同じ味にはならないことは理解していてほしい〟とお伝えしているそうです。

でもそれこそが天然醸造の魅力と言えることでしょう?

工場見学のご案内より(残念ながら現在はコロナ禍の為、見学は行っておりません)

坂巻醤油の作り方は創業から今も大きくは変わっていないそうですが、昔は大豆を大きな釜で煮ていましたが、

現在はNK缶(NK缶は大豆を蒸す装置で大きな圧力釜)を使って大豆を蒸しており、

麴づくりも昔は木でできた麴蓋に麹をひいて作っていましたが、現在はその手法は行っていませんとのこと。

そんな作り方の変化が有る中で、もろ味を発酵・熟成させる木桶は、ずっと変わらずに同じものを使っているそうです。

その木桶は大正14年よりもっと古いものがあるそうです。

使い込んだ十六石の醤油の木桶は、いったい、いつから活躍しているのでしょう?

創業以来の十六石の醤油桶

この醤油桶こそが醤油の核になるそうです。坂巻醬油の味を繋げていくのはまさしくこの醤油桶だそうです。

かつて桶川や中山道沿いには醤油屋がたくさんあったそうですが、この仕事は新規で増えていくものではないので、

どんどん少なくなってきていますと小野さん。

一年かけて発酵・熟成される坂巻醤油は数々のお店、個人の方々に愛されています。

桶川の学校給食、和食から中華、美味しい料理の中に坂巻醤油が使われています。

そして、試行錯誤の末、醤油を使ったクッキー、ジェラートやお煎餅も醤油の香ばしい味を残しつつ、

他にはないオリジナルな美味しいお菓子なども販売されています?

私はクッキー、豆菓子、上尾の榎本牧場さんのミルクとコラボした醤油ジェラートも大ファンでございます?

 

そして、歴史を感じる商標ロゴが入ったTシャツや、デニムバックもとっても素敵です❣

ある日お客様が坂巻醤油の商標ロゴが入った手ぬぐいを持ってきてくれて、誰もいつできた手ぬぐいか?

分からなかったけれど、時代を重ねても決して色褪せぬ魅力を感じたため

ロゴ入りTシャツやバックに復刻したそうです。

(右に)大豆と(左に)小麦がしっかり絵に入っていて、醤油をイメージした洒落たデザインです。

小野さんにとって桶川はどんなところですか?とお聞きすると

最初は神奈川県の出身なので、海が無いのが寂しいなあと思ってしまいましたが、

桶川に住んで25年。大きな災害が無いことが本当に素晴らしいと思います。

だからみなさん穏やかでのんびりした方が多く人柄が良いですよねー

結婚して始めは城山公園の近くに店と住まいがあったのですが、平成22年に現在の場所に来ました。

調整区域のため、川田谷はあんまり変化がないですねとのこと。

醤油作りに関しても、5、10年と時が経っても今と同じように天然醸造による菌や酵母が変化していくことを

私が手伝っているという気持ちで、きっともくもくと生真面目に続けていると思いますが、

坂巻醤油店としては、上尾バイパスの横に道の駅が出来る計画が有るので、

そこはどんな道の駅になるかなあ?坂巻醤油をもっと多くの方に知っていただくチャンスが増えるのでは?

と期待しております⭐

桶川に来た時は誰も知り合いがいなくて、仲間がいませんでしたが、

現在は地元の消防団に入って地元の方々と繋がることが出来るようになりました。

醤油作りはとても孤独な作業なので、それとは別に、消防団の仕事もしっかり続けていきたいと思っていますとのこと。

こんな誠実な消防団の方がいて、桶川の町を守って下さると知って本当に心強いなあと思いました。

いつまでもお元気で、美味しい醤油を桶川から発信していただきたいと願っております(^_^)v